-horreum-倉庫

雑多です。
2025クロード誕生日

 パルミラから祖父を頼ってデアドラにやってきたクロードはいまだに一人での外出を許可されていない。
「こっちにくればもうちょっと好きにやれると思ったのに」
 クロードが頬を膨らませて苦情を言うと母方の祖父であるオズワルドは苦労が刻まれた手を伸ばし、髪がくしゃくしゃになるまで頭を撫でた。幼児のように扱われることで互いに何かを取り戻している。だから祖父と自分は共犯なのだ。
「もう少し上手く振る舞えるようになったら、な」
 そう言って笑う祖父の顔が好きなのでクロードは未だにリーガン家の本宅から抜け出したことがない。限られた召使と教師に囲まれて静かに時を待っている。デアドラでは数年ぶりに安心して眠ることができた。安心して食事を摂ることができた。母はなぜここから逃げ出したかったのだろう。今はまだ把握したくない。

 数日後、祖父から中庭に呼び出されたクロードは目を見開いて驚いた。目の前には立派な飛竜がいて、すぐに飛び立てるようきちんと装備が整えられている。
「えっ?!なんで?!」
 人口が密集しているデアドラの市街地では糞害を出さないため市街地では消火隊と産婆以外は飛行が禁じられている、とクロードは習った。理屈としては完全に正しい。
「来なさい。物事には例外がある、と教えてやろう」
 鞍が二人乗り用であることは少し気になったが、クロードは祖父に言われるがまま、飛行用の外套を着て鞍に腰を下ろした。手綱は後ろに座る祖父が握っている。装備にリーガンの紋章をあしらった飛竜は祖父の指示通り上昇しはじめた。波の煌めく青い海には船がたくさん浮かんでいて、煉瓦造りの街は水路と橋で出来た網に捕えられている。
「誕生日おめでとうクロード!これがリーガン家の特権だ!」
 パルミラでは同じ月に生まれたものたちをまとめて祝う。そこで不愉快な何度も嫌な思いをさせられた。だがフォドラでは誕生日に対するこだわりが強く、個別に祝う。
「もっと早く教えてくれたらよかったのに!」
「飛べるのは十六才以上のものだけだからな!」
 上空なので声を張り上げないと会話が成立しない。クロードを驚かせるため、今日まで皆わざと秘密にしていたのだろう。自力で特権に気が付けなかったのは少し悔しいが───気分は悪くなかった。畳む